オウンドメディアの成功事例から学ぶ!メリットとは?

この記事では、近年、様々な分野で注目されているオウンドメディアの運用事例を紹介しながら解説していきます。

また、この記事では、単にオウンドメディアの成功事例を紹介するだけではなく、プロの観点ならではの、ポイントや工夫、自社のオウンドメディアの戦略などに取り入れるとしたら、どういった点を取り入れられるのか、活用事例をご紹介します。

1.オウンドメディアとは

まず、改めてオウンドメディアとは何かについてを解説します。

自社が所有し、記事の制作なども自社で行うタイプのメディアのことを指します。

基本的には、通常のメディアの場合は広告収入などを目的としているケースが非常に多いのですが、このオウンドメディアについては、広告収入は想定せずに、市販のサービスについて解説したり、自社の社内の情報開示することで、人材の採用に役立てるなどの活用が想定されています。

このオウンドメディアにおける最大のポイントが、自社が独自に運営しているので【編集権限も自社にあり文面などを自由にコントロールできる】という点です。

通常、他の会社が運営するメディアの場合は、お金を払わないとなかなか掲載してもらいにくいだけでなく、たとえお金を払ったとしても、その文面などについては、自由に掲載することができず、写真の数や文字数など、そのメディアを運営している会社のルールに沿う必要があります。

しかし、オウンドメディアであれば、そういった制限は一切ありませんので、自社でブランディングを行っていきたい場合に非常にマッチする手法です。

一方、通常のメディアにお金を払って広告などを載せる事ができるようなタイプのメディアのことを自社が保有するメディアであるオウンドメディアに対して【ペイドメディア】と呼びます。

また、TwitterやYouTubeなどの誰もが使えるSNSのメディアの事を【アーンドメディア】と呼びます。

基本的に、メディアを大別するとこの3つに分けることができるのですが、このメディアの中でオウンドメディアが一番、内容をコントロールできる手法です。

事例の紹介に入る前に、オウンドメディアのメリットを改めて確認していきましょう。

事例のどういった点がいいのかを分かりやすくするためにもメリットを理解した上で事例に進んでいきます。

2.オウンドメディアのメリット

ここでは、様々あるオウンドメディアのメリットを5つご紹介します。

メリット1:ブランディング(訪れたユーザーを自社にファンにすることでブランド力を高められる)

まず、オウンドメディアを持つ大きなメリットがブランド力を高められるという点でしょう。

文面や写真における制限がないため、従来の広告よりも伝える情報量が格段に増えることから、ブランディングを高めることが可能となります。

メリット2:認知の向上(メディアという形態を取ることで検索エンジンやSNSなどからの流入によって自社の情報の露出を高められる)

また、認知などの向上もメディアならではのポイントでしょう。

多くの企業の場合、公式ホームページに訪れてくれる人を増やすというのは、なかなか大変な作業です。

よほど、顧客に響くようおなサービスでなどがなければ、中々訪れるきっかけがありません。

しかし、自社でオウンドメディアを保有しておければ、そのきっかけになる可能性を高めることができます。

メリット3:コンテンツの独自性(コンテンツに対して制約がないため思い切った独自の内容をコンテンツ化できる)

オウンドメディアは広告などと異なり、メディア側のルールなどがありませんので、独自の内容をコンテンツ化することが可能となります。

また、実際に役立つコンテンツを制作することによって、自社のファンに繋がるようにしたり、購買/問い合わせに繋げるなどの方法もあります。

メリット4:広告費が掛からない(初期段階ではお金かかるが認知度が上がりユーザー数が集まれば広告費が掛からなくなる)

オウンドメディアであれば、支払広告費などは発生しません。

もちろん、逆に広告費を払えば多くの人にリーチできるというものでもありませんが、コストが掛からないというのは、とても大きなメリットであると言えるでしょう。

また、自社のファンになってくれれば、コストを掛けなくても自社のオウンドメディアを訪れてくれる人も増えますので、顧客との関係性を構築する上でも良い手法であると言えるでしょう。

メリット5:資産として残る(広告のように掲載期間があるわけでもないので自分から削除しない限り残り続ける)

オウンドメディアの場合、編集の権限を自社で持つということは削除するかどうかも自社で決める事が出来るということです。

通常、広告には掲載期間があり。その掲載期限を過ぎるとメディア側から削除されてしまいます。

しかし、オウンドメディアであれば、その削除の権限も当然自社が有していますので、削除しない限りコンテンツが資産として残り続けることができるのです。

3.オウンドメディアの事例

ここからは実際にオウンドメディアの事例をご紹介します。

合わせて、これらのオウンドメディアの特徴やどういった点を参考にすればよいのかも合わせてご紹介しましょう。

事例1:医肌研究所(資生堂薬品)

https://medical.shiseido.co.jp/ihada-lab/

資生堂薬品が展開しているオウンドメディアとなってとり、主なターゲットは一般の消費者です。

このオウンドメディアにおける最も特筆すべき点としては、医師監修のもとで肌のケアに関する情報を提供している点です。

医師が全ての記事を監修しているだけでなく、どのクリニックの何という医師が監修しているのかが写真付きで紹介されています。

丁寧かつオープンな情報提供を行いながら自社の商品をアピールするオウンドメディアの現時点での教科書というべき運営方針です。

当然ながら、全ての記事において、医師の監修をつけようとすると、コスト的にも非常に多くのコストが掛かるでしょう。

それを踏まえても、医療系・メディカル系のオウンドメディアとしてしっかりとした情報提供をしていくという方針は非常に素晴らしいと言え、オウンドメディアを運営している者として学ぶべき点が多くあると言えるでしょう。

なぜ、ここまで医師の監修を入れるなど、対策をしているのでしょうか?

それは、医療系メディカル系のオウンドメディアは非常にセンシティブと言われているためです。

そのきっかけとなっているのが、2016年にDeNAが運営するWELQという医療系メディアが炎上する事件です。

このWELQでは肩こりの原因が幽霊にあるなど非科学的な記事を作成公開することで専門家だけでなく一般の人からも批判を浴び、担当者が更迭され社長が謝罪会見を開くなどの対応に追われました。

1件の記事が問題になるだけでここまで大事になるのかと思われる方もいると思いますが、一企業が自社の名前を使ってメディアを使っていくことの責任がどれほど重いのかを示した事例とも言えるでしょう。

そういった意味ではこの資生堂薬品が運営する医肌研究所というオウンドメディアはそれに対する一つの答えであると言うことができます。

ただこのメディアは、正確性を重視しすぎるあまり堅苦しい文面になってしまい、コストとしてもかなり高くなってしまっているように見受けられるため、メディカル系でない業界の場合はここまでする必要はないかもしれません。

状況に応じて適切な判断が重要と言えるでしょう。

事例2:ニキペディア

https://nikipedia.jp

プロアクティブというニキビ治療薬を製造販売している会社のオウンドメディアです。

あえて2つ連続で医療系のオウンドメディアを挙げたのは情報の信憑性をどこまで担保するのかが近い業界の企業でも異なる点を知っていただくことが、オウンドメディアの運用においてとても参考になると判断したためです。

このニキペディアは、「みんなを笑顔にしたいニキビケア応援サイト」というキャッチコピーのもと、肌のトラブルや肌のメンテナンスに関する情報をまとめているサイトです。

そもそもプロアクティブというのはニキビケア用の洗顔料や美容液、薬用クリームなどを扱っている会社ですので、医療系となっています。

その意味でニキビとは言え洗顔料などを扱うため資生堂製薬同様に情報の信憑性は重要ですが、ニキペディアの記事は医師が監修しているわけではありません。

つまり、医師の監修があるから良い、無いから悪いという訳では無く、それぞれのオウンドメディアなどで描きたいゴールをしっかりと描き、それを実現していこうとすることが重要なのです。

そういった意味では、ニキビケアに関する商品を展開している会社がニキビケアに関するオウンドメディアを運営していくのはアプローチとしては非常に正しいと言えます。

このようにオウンドメディアを運用のすることでブランディング上のメリットが期待できるだけでなく認知の向上も期待できます。

ニキビに悩んでいる人がニキビ関連のキーワードで検索するのは当然想定される行動であり、ユーザーの行動範囲を網羅していくためには広告だけでなくコンテンツのような読み物も充足させることが重要なのは言うまでもありません。

この観点からすれば、オウンドメディアを持つことは自分たちが捕捉したいユーザーを確実に捕捉するための手法を増やすことと言えるでしょう。

事例3:メルカン

https://mercan.mercari.com

オウンドメディアの中でもリクルーティングに寄与するという事例を語る上で外すことのできないメディアが、メルカリが運営する【メルカン】でしょう。

メルカリはフリマアプリを運営していおる会社ですが、このメルカンはメルカリの利用を拡大することを目的としてはいません。

では、何を目的にしているのかというと、メルカンの最大の特徴は、エンジニアの採用を強化するために作られたものである、という点です。

メルカリのようなウェブのサービスを運営している会社であればエンジニアの採用が重要になりますが、ウェブに関わるエンジニアは近年人手不足に陥っており、ある調査によれば有効求人倍率が10倍と試算されるなど非常に厳しい採用状況になっています。

メルカンはこのような厳しい採用の状況の中で採用のブランディングを行うことで応募者を幅広く集めることを目的に作られています。

メルカンのコンテンツとしては、社員のインタビューなど内容の濃いコンテンツが多くまた更新も毎日行われており飽きのこないように工夫されています。

また、メルカンの成功により、メルカリのブランディング特に採用におけるブランディング力が高まっています。

ユニークな手法と言えますが、今後はオウンドメディアリクルーティングがトレンドになってきているため、採用競争が激化する中で同様の手法を使っていく企業がこの先増えてくるでしょう。

こんなメルカンですが、旗揚げ時に掲げていた当初の方針がオウンドメディアを考えるにあたって有意義であるため以下に引用します。

メルカン創刊当初の方針

 1.採用にコミットしているメルカリだからこそメディアを持つ

 2.毎日更新。最悪一人でも回せる

 3.点在する情報を集約。採用候補者は、ここを見ればメルカリがわかる状態にする

 4.PV(数字)は共有するが追わない。社員へのシェア強要はしない

https://mercan.mercari.com/articles/2018-11-09-130000/

どれもうなずけるものですが、3の「点在する情報の収集」はある意味でオウンドメディアでしか行えない画期的なメリットです。

特に人材関係では情報が点在していて集約されていないことも少くない中で、ここさえ見れば採用に関して正しい情報が集まっているというのは今後の人材採用においてもポイントになってくるでしょう。

今後は人事だけでなく人事意外も採用に関わっていくケースが増え、社員が知り合いを連れてくるリファーラル採用や面接意外でフランクに現場と話していくカジュアル面談も多くなる中で、現場社員でもこのようなメディアにアクセスすることで容易に採用に関する情報を得られるという意味でも、このようなオウンドメディアを保有していくことが大きなメリットになります。

事例4:サイボウズ式

これもメルカンに並んでオウンドメディアを語る上では外せないオウンドメディアの成功例です。

サイボウズは働き方を効率化するためのグループウェアを運営している会社ですが、サイボウズ式では働き方に関する内容を幅広くコンテンツやインタビューにして発信しています。

このように働き方に関する情報を発信することで「働き方と言えばサイボウズ」といったイメージが定着しメディアへの露出などが増え、知名度が大きく向上しました。

サイボウズ式の優れていた点は、自社の商材の宣伝に終始せず、働き方に関する情報を幅広くコンテンツ化し発信したことです。

サイボウズがもし働き方に関するグループウェアの内容に限定してサイボウズ式を運営していたとすればここまでの成功はなかったでしょう。

自社の行っていきたい方向性とメディアの方向が近ければ、あるいは価値観が近ければ自社の商材に限定せずにもっと幅広いアプローチを行うというのも一考すべき戦略です。

事例⑤北欧、暮らしの道具店

最後に、今までの比較的知名度のある企業の事例とは異なり、もともと会社の規模は小さかったもののオウンドメディアによって有名になったものを紹介します。

その事例は、「北欧、暮らしの道具店」というECショップです。

ECショップはオウンドメディアと関係が薄いと思われるかもしれませんが、北欧、暮らしの道具店はECショップの商品の紹介ページの作り込みが素晴らしいと評判になりました。

従来、商品紹介ページの写真は極力商品しか写さずにサイズ感がわかりやすいような実用的なものが多く、そうでなければクレームに繋がると思われていました。

一方で北欧、暮らしの道具店では、単に商品を紹介しているのではなく、まるで雑誌の読み物のように洗練された写真や読み物として読みたくなるような紹介の仕方で、例えばコップの紹介でも机の上で実際に使われている状況を撮影し読者のイメージを掻き立てるような画期的な仕方で表現を行いました。

コンテンツの独自性によってブランディングを実現した事例です。

まとめ

このコンテンツでは、実際に成功しているオウンドメディアの事例をご紹介しました。

オウンドメディアを作る際には、漠然と作ってみるのではなく、どのメリットを狙っていくか考慮した上で、独自の色のあるメディアを作ることが重要といえるでしょう。

一方で、どのようなメリットを狙っていくにしても即効性はほぼ無いのがオウンドメディアの大きなデメリットです。

だからこそ、そのデメリットを理解していただいた上でオウンドメディアを導入するか考えていただくことが重要です。

それを理解した上で中長期的なメリットを目指して頑張っていくのであれば是非当社に協力させていただきたいです。

メディアの制作のサポートや記事制作の相談もできますので、まずはお気軽にご相談ください。